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「綺麗な空だな~」
「ほんとに。これは曇り傘のおかげじゃね?」
「かんけーねーだろ。そもそも、もう曇りじゃねーから曇り傘でもねーし。」
そんなことを言いつつもそうとは思えない高揚感を押さえきれずにいた。友達の方を見ると目か合う。
「曇り傘の人、まだいんのかな?」
「見に行ってみる?」
返答はなく、ただ行動だけで見に行ってみることをお互いに確認しあった。歩道橋の端、走って5秒もかからない。そこから見えた曇り傘をもう一度探すと、そこには傘をしまい虹を眺める白い傘の人がいた。
「ほら、もう傘さしてねーじゃん。ていうか、ただのおばあちゃんだったし。」
「ん~、曇り傘じゃなかったのかなぁ。」
「ただの噂だって。まあ、もうどっちでもいいけど。」
そうやって友達と会話をしながら、ゆっくりと虹を眺めながら歩道橋を降りていった。今日はいつもより幸運な日だったようだ。
ゆっくりとした帰り道、曇り傘の原因だった大雨に降られたのはまた別の話。
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