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曇り傘
昼下がり、まだ5時を過ぎたばかりだというのにもう辺りが暗くなり始めていた。今日は生憎の曇りでいつも学校帰りに見える綺麗な夕日を拝むことはできない。帰り道、仲の良い友達と話しながら分かれ道までを歩いていた。横断歩道の前で信号機が青になるのを待っていると、友達が突然こんなことを聞いてきた。
「なぁ、曇り傘って知ってるか?」
「はぁ?何って?」
「曇り傘だよ。曇り傘。最近、噂になってるの知らねーの?」
「知らねーよ。なんだそれ。とうとう曇りの日でも紫外線を気にしなくちゃいけないなったのかよ。」
「ちげーって。そういうんじゃなくて、今日みたいな日にさしてるらしいんだけどなぁ。どこかにいねーかな?」
周囲をキョロキョロとしだした友達に合わせて俺も周りを見渡した。周りを見つつも俺はそんな変なやついるわけないと思っていた。どうして曇りの日に傘をさす必要があるんだ?日傘、雨傘までさしてんなら、一年中傘をさし続けることになるじゃねーか。
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