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結局、全ての授業が終わっても、雨はやまなかった。教室の掃除当番に当たっている私は、窓の外を眺め、奇跡的に雨がやまないかと心の中で祈りながら、床を箒で掃く。周りのクラスメイトは傘を持ってきているから、雨のことなんて殆ど気にしていない。
そんな中、掃除当番でもないのに、和人は教室に残っていた。何で帰らないんだろうと思いながら見るけれど、何かをしている様子もない。傘を持ってきたと言っていたけれど、本当は忘れてきたのかもしれないと私は思った。
私は和人に近寄って話しかける。
「どうしたの? 掃除当番でもないのに、何で帰らないの? もしかして、本当は傘を忘れてきたとか?」
私が半ば揶揄うように言うと、和人は少しだけムスッとして、
「お前に用事があるから待ってるんだよ」
と答えた。
「私に用事? 何なのよ?」
「いいから、さっさと掃除を終わらせろよ」
「わかった」
私はそう答えて、掃除に戻る。
それから10分くらいで教室の掃除は終わった。一緒に掃除をしていたクラスメイトは、鞄を持って教室を出ていく。それを待っていたかのように、和人が私に近づいてくる。
「ちょっとついて来いよ」
和人はそう言うと、私に背を向けて教室を出ていく。
「どこに行くのよ?」
「いいから」
「わかったわよ」
私は仕方なく和人の後をついて教室を出る。
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