Rain

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 私と和人は幼馴染(おさななじみ)で、小学校、中学校とも同じ学校に通った。だけど、高校ではきっと別の学校になるに違いない。私はそう思っていた。  成績優秀な和人は別として、私は高校受験直前までボーダーライン付近をウロウロとしていた。どちらかというと、不合格になる公算の方が高かった。正直言って、受験する高校のランクを一つ落とすことも考えていた。  だけど、ランクを下げて後悔するくらいなら、思い切って志望どおりに受けた方がいいと思った私は、受験前日まで猛勉強して受験に望んだ。  受験当日の降水確率は10%だった。その頃の私は、10%くらいなら雨なんて殆ど降らないと思っていた。心配性の母は、私に傘を持っていくように言ったけれど、邪魔になるからと忠告を無視したのを今でも憶えている。  受験会場に着いた私は、最期の最後まで参考書と(にらめ)めっこして試験に備える。そして、私の受験が始まった。  最初の教科は最も苦手な数学。ここさえ乗り切れば、あとは何とかなる自信があった。試験開始の合図とともに、私は問題用紙を開いた。その瞬間、私は思わずガッツポーズをしそうになった。そこに並んでいた問題のいくつかは、前日にやったばかりのものだったのだ。数字こそ違うけれど、解き方は全く同じ。私は答案用紙にスラスラと答えを書き込んでいった。
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