三、ころころ転がる。

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「ま、まって、あの」 「ん?」 「スカート、見えちゃってるの」  近づいたら気づかれちゃうかもしれない。  私が慌てたのに、彼は平然と自分の濡れた服を脱ぐ。  すると今日の服も、注意された『タイムイズマネー』を着ていた。 「紗矢―。パンツ見えるよ。俺にサービスかよ」 「ばか!」 じゃれながら、濡れた自分の服を紗矢の腰に巻きながら、プールサイドに押し上げて座らせた。 「馬鹿。バカ、ばか、ばかあ」 「なんだよ、水玉パンツなんか見てねえよ」 「しっかり、見てる。ばかあ、ばかあ」 ポカポカと殴られて、陣之内くんも少し悲しそうだった。 「ばか!」 「俺のテストの点数は、クラスの平均点を下げるためにあるようなひどいものだからな。その言葉、否定はしねえ」 「転校のことだよ。せめて、一緒に卒業しようよ。ありえないじゃん」  うっうっとしゃくりあげる紗矢に、女の子たちが駆け寄った。  クラスの皆も泣いている。喧嘩していた男子たちもだ。 「……しかたねえんだって。誰も理解してくれなかった。俺だって、どうにかしたかったんだよ」  掠れて必死で絞り落とすような声だった。
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