犬嫌い?

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犬嫌い?

母は犬がキライだ。 なぜ犬嫌いになったのか?私にはわからない。 お母さんはまだ入院している。 由美と由美のお母さんの香織と3人でお見舞いに行った。 「ーー体調はどう?」 そう切り出したのは香織だった。 お母さんは上半身を起こして、ぼんやりと窓の外を眺めている。 窓の外には暑い中、枯れ果てた木がたっている。 「ーーもう大丈夫ですよ」 静香がそっと微笑んで言った。 「今、由美ちゃんの家でお世話になってるの」 私が言うと「ちゃんといい子にしてる?」と聞き返してくる。 「大丈夫だよー。ねー」 香織に助け船を求める。 「大丈夫。手がかからなくていい子よ」 おばさんが言ってくれた。 「ーーところで、静香さん?」 「ーー何でしょう?」 「あなた、犬が嫌いだったかしら?」 「嫌いなんてそんなーー私、犬は大好きよ」 「じゃ、あなたを助けてくれた犬は、飼っても構わないわよね?」 香織がそう話を持ちかけてくれる。 「ーーもちろん。ただね、犬って可愛いし、なつくけど、、死んじゃった時が寂しくなるから飼いたくなかったの」 「お母さんが、犬がキライって訳じゃなかったの?」 私は聞いた。 「嫌いな訳ないじゃない。大好きよ」 「ーーそれじゃ飼ってもいい?この子」 私はケータイで撮った犬の写真を見せた。 「しょうがないわね。ちゃんと世話するのよ?」 「ーーありがとう。お母さん」 ようやく、母の口から犬を飼ってもいいと言う言葉が出た。 ーーやったー。 満面の笑みを浮かべながら、私は香織と由美ちゃんと病室を出た。 とても暖かい気持ちになった。 やっと念願の犬が飼える。
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