かっさらい?

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 告白ね。  そう、  されたのね。  ん? 「な? 何て言った?」 俺は今なんだか凄い事を耳にしてしまった様な。 一瞬目が回る様な違和感を感じた後、面白くもなんともないのに変な笑いと共に小さくえ?え?と繰り返し呟いていた。 「え?お前、告 告は… え? マジ? コクハ?え?」  相手は全く答えず完全に下を向いて頭から湯気でも出しそうなくらい真っ赤になっていた。 肩を縮めて女の子座りして深くうつむいているこいつは本当に女の子みたいに見えた。 「だ、誰その、モノ好き。」  一瞬殺意の形相を向けられた気がしたがすぐにそれは消え去り消え入りそうな声で『部長』と声が返った。  あいつか―。3年の中でもイケメン部類で女子人気も異様に高いんだよな。 スポーツテストでもいつもトップクラスで成績もよく知らんが良いとか。 俺はすぐ返した。 「あいつ確か彼女いたろ。テニス部の。」 「別れたんだって… 」  そのままこいつは下校しようとした時この雨で困っていたら部長が家まで傘に入れてくれた事や、付き合っていた女と別れた話やこいつの事を前から好きだったなんて事を話されたといった事をぽつぽつと話した。  こいつの話し方が下手っくそだったからか、俺はその話に始終イライラしっぱなしだった。 「で、お前どうすんだよ。」 「どうするって…。」  顔を上げた彼女はなんか泣きそうな顔をしていた。 「つ、付き合うのかよ…。返事、しなくちゃいけないんだろ?」 「そう、だよね。どうしよう。私こういうの初めてで、ただびっくりしちゃって…。喜んで良いのかな…。」  俺は背を向けた。男が告白するってのはそこそこの覚悟が要るもんだ。相手の人生を背負いこむ覚悟ってやつがな。  それを受けたんだから喜んでやるべきなのだろう。けどこいつの煮え切らない態度が気に入らないのか相手の顔を見る事に何か腹が立った。 「何か言ってよ。」 「言えったって、お前が決める事じゃないのかよ。」  相手はそうだけどと呟くとそれきり何も言わなくなった。  雨の中相合傘だって?ほぼ密室じゃないか。誰かに顔を見られる事も無く、話声も雨音で消されて、せっまい中で身を寄せ合って、こいつあの男とそんなことしていたのか。  おまけに愛を囁かれただって?かーっ!笑える―!どたどた階段を上がって来るような奴に好きとか言っちゃう奴が居るとはね。  俺にキックやらチョークやらグーパンチをくらわす奴を女として見るとは呆れるわー!  で、こいつはこいつでその気になっちまってすっかり女の子さんか。猫かぶりやがって!どうせ貰い手が無いんなら良いチャンスじゃねーか! 「今日は、帰るね?」 「おう。」 「突然ごめんね、こんな話。」 「お前はいつも突然じゃないかよ。気にすんな。」  あいつは音も無く立ち上がるとそっと階段を下りて帰って行った。 「あ、あのさ!」  何故か俺は急に立ち上がって階段の上から声をかけていた。  あいつが階下でゆっくり振り向く。位置関係がそうだからか上目づかいに見つめているように見えてなんだか戸惑った。 「いや、その、なんだ、気をつけて帰れよ?」  そうだ、その通りだ、幾ら向かいの家だからって気をつけて帰らないと道を渡る時轢かれかねんからな。  すると相手は返事もしないで前を向いた。 「気をつけて行けよ―?おーい?!」  俺は何を言っているんだ。  あれ?俺、今日は意識あるな。 けどなんだろうな。いろいろ納得いかない。  外では雨音が激しくなってきている。 湿気が多いからだな。こういう日は大っ嫌いだな。 大切なオペレーション5656を再開する気にもならん。
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