深夜のショウコ

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「あはははっ……」  気が付けば、声をたてて笑っていた。 「……ママぁ?」  ミカが、私の様子をうかがうように見上げる。 「涙が出るほどおもしろいの?」  そう尋ねるミカに、私は「うん」と頷いた。 「泣いてるのか笑ってるのか、わかんないよ」  茶化す素振りでマグカップを手の中に包むミカに、私はもう一度頷いた。 「うん……うん。笑おう」  私は鼻をすすって、ミカの肩を抱いた。 「笑おうよ、ミカ」  もう片方の手もミカの肩に乗せ、ぎゅっと抱き締める。 「心配いらんよ、大丈夫」  笑おうよ。  笑わせてくれる人がいるから。  人は、傷つけたり悲しませたりするばかりじゃない。  元気づけてくれる人がいるから。  大丈夫。  笑っていれば大丈夫。  今はつらくても、きっと乗り越えていけるよ。
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