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たまに走って時折休んで。
着いた場所は廃ビル。
肝試しのスポットとして周りでは有名な場所だ。
テープをくぐればすぐに入れるため、不良のたまり場でもあった。
開いた瞳孔が暗い中でもある程度の景色をうつす。
耳を澄ませ、誰もいないことを確認して屋上の扉を開ける。
錆ついて重い扉の鍵は、誰かの手によって壊されていた。
夜空を落としたような景色。見上げた星空よりも
強くぎらぎらと光る恒星が散らばっているようだった。
こんな街の中を走ってきたのか。
先程より強い風が、フードをはためかせる。
小学6年になる頃には、僕は既に孤独に慣れていた。
だからこそ、ここから訪れた変化に大きく戸惑ってしまったのだろう。
僕の周りに人がくるようになった。
それは歩み寄りではなく、槍を持ってにじり寄ってきたのだ。
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