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思い出したくもない言葉の数々。
耳を塞ぎ、目を閉じた。
引っ張られた髪が頭皮まで連れて行こうとする。
蹴られた。叩かれた。痛くて涙が出た。
登校するたびに一つは必ず傷を作って帰る生活が続いた。
それが2か月ほど続いたある日から、ぴたっと止んだ。
まさにその日、先生に呼び出されて指導室に入った。
誰かが、僕がいじめられると教えてくれたと言っていた。
この時、僕は安心とは正反対の感情を抱いた。
そしてその懸念は悲しくも当たることになる。
1週間後、僕に対する扱いが変わった。
目に見える暴力的なものからより陰湿なものになっていた。
教科書は隠され、ノートはぐしゃぐしゃに破かれていた。
ランドセルには靴の跡があり、ところどころへこんでいた。
ちょうど鳩尾の左上辺りを、
ぎゅうっと掴まれぎりぎりと爪を立てられるような痛みが襲った。
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