3時

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ーゴーンゴーンー  外はまだまだ真っ暗で、繊細で神経質な人ならこの微かな鐘の音に目を覚ましてしまうかもしれないし、怒りを覚えるかもしれない。  でも、この町にはそんなことを思う人が居ないのか、居たとしてもただ我慢しているのか、騒ぎや苦情になる様子は全くない。  だからこれは全て、私の単純な興味に基づく行動に過ぎないのだ。  あれは何だろうという些末な疑問を疑問のままに過ごすことができないという、ただの面倒な性分なのだ。  眠っている両親を起こさないように慎重に窓を開けた。2階にある私の部屋は、1階にある両親の寝室からは離れていたけれど、立て付けが悪く普通に開けるとガタガタと多少大きめの音をたてる。  日中の人々のざわざわとした声が目立つ頃合いならともかく、このフクロウや野犬かなんかの声ですら閉じた扉から簡単に入ってくるように響いてくるのに、立て付けの悪い窓を開ける音なんて家中どころか近所にまで響き渡ってしまう。  そんなことはどう考えても面倒なので、慎重に慎重を期して窓を開けたのだ。  初夏の生温い外の空気がわっと私の部屋と、鼻や口を通して私の中にまで入ってくる。  もうこの段階で幾分か面倒に感じてはいたのだけれど、そのくらいの面倒くささなら私の興味は簡単にペロリと呑み込んでしまえる。  私の興味の前では少しくらいの面倒くさいは障壁にはならない。  雨どいをつたってしたに降りた。  事前に靴を用意していたので着地も容易であった。 「さてと……」  ポケットから懐中時計を出して時刻を確かめる。短針が3を指している。  まだ太陽は遠い午前3時。  両親が目覚めるまでにあの鐘の音の正体がわかるのが一番だけど、どうなるかわからないので、言い訳も考えて置かないとなと思いつつも音のする方へと足音を忍ばせつつも走った。  
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