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音のする方に向かっていくと、それはもう明らかに町外れの山に入っていくしかなかった。
部屋着のままで飛び出しできたことは後悔した。半ズボンで剥き出しの脚を這うヒルがとても鬱陶しいし、気持ち悪い。加えて飛び交う蚊に、帰宅後の自分のからだの惨状を想像もした。
「家にかゆみ止めはあったかなあ……」
なければ買いに行かなければいけないなあと、そんなことを思いながら先を急いだ。
見えてきたのは石造りのお屋敷であった。それは木々の中のぽつんと建っていた。
アイボリーに近い色の石造りの壁は、月明かりに照らされて眩しくも感じられた。その周囲にあまりにも溶け込んでいないそのお屋敷は、その綺麗さのあまり逆に不気味であった。
まあ綺麗なことに越したことはないと、私は何も考えずにドアノッカーに触れた。
レース編みのように細かな装飾が施されたそれは、見るからに安物ではないことを想像させた。
「あら、いらっしゃい」
中に入ると、私の3倍ほどの背丈の老齢の女性がぬっと立っていた。
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