黄色い傘

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「これ使っていいよ。」  小学生がよく使う黄色い雨傘だった。  その女子生徒は僕と同じクラスの子で、男子たちからは“巨女”と呼ばれていて、身体が大きく、僕たちなんかよりも数段大人びていた。 「弟のだけど、弟は同じクラスの子と一緒に相合い傘して帰ったみたいだから。」  そう言ってその子は僕に黄色い傘を貸してくれた。 「あ…ありがとう…」  僕はその手から傘を静かに受け取った。  女の子は何も言わずに、にっこりと微笑んで、そのまま帰って行った。  僕は一緒に帰るのが嫌で、その女の子が見えなくなってから黄色い傘をさして家路に着いた。
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