8人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
受 験
高校2年の夏、母親と共に進路相談を受けた。
「志望校は決めてるのか?」
先生は誰にでも問う形式的な口調で、僕らに尋ねた。
「…僕は医者になりたい」
初めて他者に伝えた僕の決意だった。
黄色い傘、そして小学生でその人生を止められたか弱い少女が、僕を突き動かしていた。
先生も母親も驚いていたが、別に反対はしなかった。
なぜ僕が医学の道に進みたいかを問う者はおらず、ただただ「頑張れ」としか言わなかった。
そんなこと言われなくても、僕は次の日からも勉学に励んだ。
最初のコメントを投稿しよう!