受 験

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受 験

 高校2年の夏、母親と共に進路相談を受けた。 「志望校は決めてるのか?」  先生は誰にでも問う形式的な口調で、僕らに尋ねた。 「…僕は医者になりたい」  初めて他者に伝えた僕の決意だった。  黄色い傘、そして小学生でその人生を止められたか弱い少女が、僕を突き動かしていた。  先生も母親も驚いていたが、別に反対はしなかった。  なぜ僕が医学の道に進みたいかを問う者はおらず、ただただ「頑張れ」としか言わなかった。  そんなこと言われなくても、僕は次の日からも勉学に励んだ。
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