Re Start

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 ある晴れた春の日。  その日は日差しが暖かく、桜が咲くにはまだ早いものの、心地よい風が吹いていた。 「たまには外にでも行きなさい」という母の言葉を珍しく聞き入れ、僕は玄関で靴を履いていた。 「雨が降るといけないから、一応、傘持っていきなさい」    母は台所から僕に向かって声をかけた。  傘を取ろうとして、傘立てに目を向けると、そこには黄色い傘が佇んでいた。  そこから動くことなく、いや、あの日からずっと動けずに、その黄色い傘はそこにあった。    傘立ての前で、僕はその黄色い傘をじっと見つめていた。  今の僕には似合わない、小さな黄色い傘。  僕はその傘を脇に抱えて、しばらく家の周りを歩いた。
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