待ち続ける日々

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待ち続ける日々

 その日はよく晴れた日だった。  蒸し暑い空気に包まれた町を、僕は傘を返そうと、黄色い傘を片手に学校へ向かっていた。  校門をくぐって、下駄箱で上履きに履きかえて教室に行くと、その子はまだ登校しておらず、席は空席のままだった。    傘を返すタイミングを逃して、仕方なく傘を傘立てに入れ、自分の席についた。  朝のホームルームを始めるチャイムが鳴っても、その子の席は空席のままだった。  今日は欠席かな?そんなことを考えていると、しばらくして先生が来て言った。 「実はね、齋藤さんは体調が優れなくて、しばらくの間、欠席します。  みんな心配だろうけど、齋藤さんが1日でも早く良くなるように待っていてね。」  齋藤というのが、例の“巨女”のことで、先生はそう言うと、何もなかったかのように早速1時間目の授業に取り掛かった。
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