遥か、愛しのニライカナイへ捧ぐ歌

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「んっ、あ……!」 「大丈夫か?」 「平気……たぶん、大丈夫……」  俺の気が逸れるようにと、明鷲が握った手の中のそれに何度もキスをしてくれた。伏せられた長い睫毛と高い鼻が綺麗で、与えられている快楽よりも明鷲のそんな表情にドキドキしてしまう。 「あ、明鷲」 「うん?」  俺は上体を起こし、明鷲の肩に触れて言った。 「俺も、明鷲のこと気持ち良くしたい」 「え」  固まる明鷲を無視して、部屋着として穿いていたスエットパンツを中の下着ごと強引にずり下ろす。 「早く。脱いでよ、上も全部」 「あぎじゃびよー!」  訳の分からない叫び声をあげる明鷲だが、結局脱がしてみれば俺と同じくらいに反応していた。当然、サイズは俺と全く違ったけれど。 「………」 「無理するなよー、南雲……」  ゴクリと唾を飲み下し、意を決して先端に唇を被せる。一度そうしてしまえば後は驚くほど簡単だった。舌で触れ、軽く吸い上げて、何度も先端を啄んでみる。そうしているうちに段々と俺も興奮してきて、明鷲がやってくれたように口の中で舌を絡ませることもできてしまった。 「うあっ、あ……な、南雲っ、……」  両肘を布団について体を支え、明鷲が天井を仰ぐ。褐色の筋肉に浮かぶ汗が部屋の明かりに照らされ、きらきらと輝いて見えた。 「も、もういいって。南雲、もういいから、ぁっ……!」 明鷲を悦ばせたい。俺で気持ち良くなってもらいたい。思えば思うほど、それを愛撫する舌と唇に熱が籠ってしまう。もっと色んな表情が見たかった。色んな声が聞きたかった。それは今この瞬間に限った話ではない。明鷲の怒った顔も泣いた顔も、その全てを見ていたい──。 「南雲、っ……?」 明鷲のことが好きだと自分の中で認めた時、俺は身を起こしてその灼けた体を抱きしめていた。 「ど、どうした」 「明鷲」  このタイミングで言うのも変だけど、今言わないともう言えないような気がして。  俺は抱きしめた明鷲の耳元で、胸の裡に沸き上がってきた思いをただその一言に込めて吐き出した。 「──大好きだ」 「………」  明鷲の腕が、俺の背中に優しく回る。 「明鷲、……」 「わーにん、あぬ時からでーじしちゅんやっさー。南雲、かなさんどー」  聞いたこともない言葉だけど、明鷲の表情を見れば分かる。照れ臭そうにはにかんで、だけどそれは凄く優しい笑顔で……俺は頬を伝う涙を拭うことも忘れ、茫然とその綺麗な瞳を見つめていた。 「え、えっと……明鷲」 「うん」 「俺も、明鷲、かなさんどー。……?」  ディヒヒと笑った明鷲が俺を強く抱き、再び布団の上へ倒してきた。 「限界」 「う、うん……俺も」  開いた脚の間に明鷲の腰が入る。握ったそれを俺の入口部分に押しあてながら、明鷲が俺の目を真っ直ぐに見て言った。 「遠恋になるけど、ちょっとだけ我慢してな。またすぐ東京戻ってくる」 「……ん。待ってる。俺ずっと、明鷲のこと待ってるから、……」 「南雲、……」 「──あっ!」  一瞬の閃光が背筋から頭の芯を突き抜けた。布団から腰が浮き、咄嗟に明鷲の肩に爪を立ててしまう。 「ご、ごめ……明鷲、……」 「気にしなくていい、しがみついてろ」 「あっ、あぁっ、……ん……!」  体が揺さぶられ、宙を掻く足の指が反り返る。身を倒してきた明鷲に言われた通りしがみつき、俺は精一杯の甘い声で明鷲の愛に応えた。 「ふっ、……う、南雲っ……」  明鷲の荒い息使いが俺の耳を湿らせている。低い声で名前を呼ばれると堪らなくゾクゾクして、思わず俺の中を貫く明鷲のそれを締め付けてしまった。  飛び散る汗。二人の荒い呼吸。触れ合う肌と肌、体の奥深くで繋がる愛情。  ──あの日、明鷲に会えて良かった。 「んんっ、あ……! あっ、あ……! 明鷲、すげ、気持ち、ぃっ……!」 「大丈夫か? 痛くねえか?」 「痛て、ぇ……けど、幸せ、……」  異物感と痛みにはまだ慣れそうにない。だけど、明鷲と触れ合っている体、そして心の中が……泣けるほど気持ち良すぎて、俺は下から明鷲の唇を塞いだ。 「ん、ぁ、南雲……」 「好きだよ、明鷲……ちゃんと、気持ちいいから……」 「南雲。……俺も、幸せやっさー……」  俺達は強く抱き合い、繋がり合い、見つめ合って、……笑い合った。
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