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それからしばらく経った、とある休日。
僕がぼんやりとテレビを見ていると、ある有名な議員が
「我々はもっと、健康意識を高めなければならない!そこで私は提案します!『3時のおやつ制度』を!」
そんな事を叫んでいた。
僕は思わず飲んでいたコーヒーを吹き出した。
『3時のおやつ制度』は健康意識を高める為の法律だったのか…。夜中の3時にしかおやつを食べられないと言うより、夜中の3時におやつを食べるという、不健康極まりない制度なのに。
あ!でも、こちらはデジタル時計だけの世界ではないから、ここで言う『3時のおやつ』は、きっと午後3時の事だろう。
「それならば……午後3時から1時間がおやつの時間で、それ以降は『夕食後のデザート』以外は食べれないとすれば、それなりに健康的かなぁ」
僕はぶつぶつと一人呟きながら、今度は新聞に目を向けた。
『世界の時間表示を、デジタル表示で統一するという案が出され……』
「なんだって!!!」
新聞の文字を目で追い、僕は大声を上げてテーブルを叩いた。
微妙に違う並列の世界。だけどその世界はそれぞれどこかで繋がっていて…
このままでは、僕もまた、将来おやつ法違反で逮捕されてしまう。そんな未来が容易に想像出来た。
僕はそれを回避すべく、デジタル時計だけの世界を阻止すべく、そして『3時のおやつ制度』を阻止すべく、行動を起こさない訳にはいかなかった。
全ては僕がおやつ法違反で逮捕されない為に。
それから時は経ち
僕は、健康意識を向上させつつ、おやつの質を上げつつ、午後3時に最高のおやつを摂る事で、心も体も満たされる、そんな『3時のおやつ制度』を完成させた。
なんと、あの最高の甘味処も再現した。
そしてのちに
僕は
おやつ大臣
そんな風に呼ばれることとなる。
その時になって僕は
『3時のおやつ制度』なんて馬鹿げた法律を作ったのは、結局自分だったのか
と頭を抱えたのだった…。
あなたのいる世界は、おやつが自由に食べられる世界ですか?
おやつが自由に食べられる、それはとてもとても、幸せなことなのかもしれませんよ?
それから
ある日突然、別の世界の自分と入れ替わってしまう事も、あるかもしれませんよ?
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