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午前3時
何かの物音で目が覚めて、僕はベッドから起き上がり、音がする方へと足を進めた。
居間に近づくと、部屋からは明かりが漏れていて、恐らく一緒に暮らしている母が、そこに居るだろう事は想像出来た。
居間に入ると、そこには驚きの光景が…
「母さん!こんな時間に何やってるんだよ!」
母の前には、昨日僕が買ってきた苺のショートケーキと、カップに注がれた淹れたての紅茶があり、母はそれを優雅に食べていた。
まだボケる歳ではないと思っていたけど、もしかしたら始まってしまったのだろうか…。今日は、仕事を休んで病院に連れていった方がいいのだろうか…
「何って、おやつを食べてるのよ。見て分からない?」
「おやつって…。今何時だと思っているんだ?夜中の3時だぞ?」
やっぱりこれは、今日は仕事を休んで、朝イチで病院に連れて行かないと。
「だからじゃないの。夜中の3時はおやつの時間でしょう?今食べないと、折角のケーキ食べ損ねちゃうじゃない」
「3時のおやつは、午後3時の事だろう!今は午前3時だ!母さんしっかりしてくれ」
僕は、キョトンとする母さんの肩を掴んで、必死に訴えた。
「智(さとる)こそ何を言っているの?午後3時?それは15時でしょう?3時のおやつは今しか食べられないのよ?ほら、時計をよく見て」
母の言ってることは、全く理解出来なくて、頭を抱えながら、言われるままに時計を見た。
あれ?
あの時計、デジタル時計だったっけ?
疑問に思って、他の時計を見てみたけど、どういう事だ?!部屋の時計が全てデジタル時計になっている!
僕は驚いて部屋を飛び出して、家中の時計を見て回った。
家の時計は全てデジタル時計に変わっていた。
そしてそれは、家だけでなく、世界の全ての時計が、デジタル時計に変わっていたのだった。
そして、おやつは3時にしか食べてはいけない
『3時のおやつ制度』
なんて、有り得ない法律が出来ていた。
僕が昨日眠っている間に、この世界に一体何が起きたというのだろうか…
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