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僕は、夜中の3時から1時間営業するという甘味処が気になって、夜中の3時に目覚ましをセットして、眠い目を擦りながら、僕が通い詰めているという、駅前の甘味処に行ってみた。 そこは驚く事に、夜中の3時だというのに、ほぼ全席埋まっていて、お客は皆、とても夜中の3時に食べるようなものではない、見た目も華やかなボリューム満点のスイーツを、幸せそうに頬張っていた。 僕は案内された席に腰を下ろし、渡されたメニューを広げた。 それにしても、やたらと分厚いメニューだな…これではまるで雑誌… 「!!!!!」 僕はメニューを捲って驚愕した。 一般的な和洋のスイーツの他に、ほぼ世界中のスイーツが載っていたのだ。 ここには、これを全て作ることが出来るスタッフが揃っているということなのか?!食材も揃っているというのか!?もしかして、こちらの甘味処とはこれが普通なのか??? 僕は無難に、イチゴスペシャルというパフェを注文し、スマホで甘味処について検索した。 やはり僕の思った通り、この世界での甘味処は、世界中のスイーツが食べられる場所となっていた。 夜中の3時、一日の中で唯一おやつを食べる事を許されているこの時間、その貴重な時間に食べるスイーツは、最高に美味しい特別なものを!そういう考えの元、こんな甘味処が作られたらしい。 「お待たせ致しました。イチゴスペシャルでございます」 そう言って置かれたパフェは、名前こそシンプルだけど、そびえ立つという表現がしっくりくる程の大きさで、赤くて大きなイチゴがこれでもかと、生クリームやアイスクリームの上に装飾されていた。 ゴクリ… 写真通りではあるけれど、こんなにボリュームがあるとは…。 僕はスライスされたイチゴと、生クリームをスプーンに乗せて口に運んだ。 美味しい!!!!!! 決して、夜中の3時に食べるようなものでは無いけど、この時間にしかこれらが食べられないと言うならば、僕はここに通う!このメニュー全てを食べたいとも思う。 僕はすっかり、この夜中の3時の甘味処に、心を奪われてしまった。 それからは毎日、仕事から帰ってくると、あっという間に寝て、夜中の3時に目覚ましで目を覚まし、眠い目を擦りながら甘味処へ行き、食べられるだけスイーツを食べた。 しかし『3時のおやつ制度』とは、一体なんのために作られたのか…?夜中の3時にこんなもの食べたら、体に良くないんじゃないのか? 僕がこの時思った事は、のちに自分が身をもって知る事となった。
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