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このままで。出来るなら、傍に居続けたい。このままの麻野で、新居崎の傍にいるには、どうしたらいいか。それは――まぁ、おいおい考えていこう。
麻野の「おそらく恋」は、随分と麻野を優しい気持ちにさせてくれた。
「ところで先生、最近連絡がなかったんですが、お仕事は大丈夫なんですか?」
「む?」
新居崎が勢いよく振り返った。
「大丈夫、とは」
「買出しとか、いろいろと。もうバイトも辞めますし、時間もあるので。何か必要なことがあれば、言ってくださいね」
一瞬、きょとんとした新居崎だったけれど。
次の瞬間、その表情が――カッ、と阿修羅のように歪んだ。
「……きみは私が随分と嫌いらしい」
「え、好きですよ?」
阿修羅が消える。
新居崎は、また、きょとんとした顔を戻った。せっかくの美貌が、歪んだり腑抜けたり、なんだか勿体ない。新居崎のことを、少しはわかるようになってきたと思ったが、どうやらそうでもないようだ。なぜ今、唐突に阿修羅顔になったのだろう。
「嫌いなわけないじゃないですか。好きです、むしろ、すっごく好きです」
「そ、そうか。……なら、いい」
「はい! 今お茶を入れなおしますね」
麻野はそう告げると、キッチンへ行く。
これからも、こんな日々が続けばいいのに。うきうきと片付けののちにお茶を入れなおす麻野を、新居崎は複雑そうな表情で見つめていた。
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