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それからというもの、僕は彼女を見るためだけに喫茶店に通った。
彼女が勧めてくれたコーヒーは確かに美味しかったが…恐らく、どんなにコーヒーが不味かったとしても、僕はこの喫茶店に通っただろう。
喫茶店に通い詰めて得られた情報は、彼女が週3…火曜、木曜、土曜にこの喫茶店でバイトをしているということ。そしてどの曜日も午後3時には店内に居るということだった。
出来ることなら彼女のシフトの日は全部通いたいぐらいだったが…お金の問題もあるし、何よりストーカーだと思われるのが嫌だったため、初めて彼女に出逢った火曜日、午後3時に喫茶店へ向かう事にしたのだ。
それにより、火曜日だけは午前中から入って午後3時には終わる様なシフトを組むように変更した。
「お待たせしました、ケーキセットとコーヒー、ブラックです。」
「あ、ありがとうございます。」
「ごゆっくり。」
未だに店員と客、という会話しかした事がないが、そのうち連絡先を聞いて仲良くなれたら…という淡い期待を抱きながら、コーヒーを啜った。
---甘いショートケーキに、苦いコーヒー…それは恋の味にも似ている様な気がした。
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