火曜日、昼下がりの午後

「ご注文は何にしますか？」
「…コーヒーで、お願いします。」
「はい、コーヒーですねー。店長、コーヒーお願いしまーす！」

何も考えられなかった。
何故、彼女は居ないのか。
いつもならこの時間にいるはずなのに。

……もしかして、忙しくて火曜日にシフトを入れられなくなってしまったのか。

それならまた自分のシフトを調整して喫茶店に来る曜日を変えればいい話だが…。

「お待たせしましたー、コーヒーです。」
「すみません…」
「…何ですか？」

「…店長、呼んでもらえますか？」

考えていたって答えが出るわけではない。それならば、行動に移した方が早い。

「…？店長、お客様が呼んでますー。」

間延びした口調で店長を呼び出す女に嫌悪感を抱きつつも、大人しく店長が顔を出すのを待った。

「…佐藤さんは下がっていていいよ。」
「え？あ、わかりましたー」

状況が飲み込めずにいる女こと佐藤は、店長に言われた通りバックへと引っ込んだ。