神様に求婚されました

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「お賽銭しないのは、貯金も少ないからっていうのもあるんだけどね」 「仕事でもクビになったとか?」 「傷をえぐらないで」  自己都合退職に追い込まれた嫌な記憶が蘇る。そう簡単に再就職出来ないだろうし、どうしたものか。肩を落として憂鬱な未来を嘆こうとした時だった。 「なら、ひとつ提案がある」  途端に縮まる距離。彼は先ほどのように両手で頬を包み込む。額同士が触れ合い、彼との距離はグッと縮まった。  そして――。 「俺の嫁に来ないか?」  風なんて吹いていないのに髪が揺れた気がした。言われた言葉は確かに聞き取れたけれど、明らかに最後の質問だけおかしい。 「え!?」 「俺の嫁に来いと言っている」 「や、なに言ってるの?」 「早く返事を」  いや、ちょっと待て。話の脈絡がおかしすぎてどこから整理をすべきなのかも分からない。
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