神様に求婚されました

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「嫁って、結婚するってことでしょ?」 「他になんの意味がある」 「無理です無理!」 「往生際の悪い小娘め」  ちっ、と舌打ちをされて固まってしまった。第一、初対面で名前を知らない人に求婚するってどうかしている。そんな相手に身の上話をしてしまったけれど、彼の言葉はあまりにも身勝手すぎる。 「ただで金はやれんが仕事なら与えてやる」 「いやいや上からすぎません?」 「神様なのだから上から言わないでどうする」 「今、なんて?」 「上から言わないでどうす……」 「その前!」  神様って言ったよね。絶対言った。イケメンだからと言って許されることは多いけれど、この発言はどう考えても中二病だ。関わってはいけない人という図が頭の中で完成した。 「やっぱり言わなくて結構です」 「神様なのだから上から言わないでどうする」 「私の話、聞いてた!?」 「よくもまあ毎日、身銭なしでこの神社へ来られるものだな。挙げ句の果てに、くだらない願いばかりを並べて」 「やっぱストーカー!?」  すると、盛大なため息をつかれた。軽蔑するかのように広い肩をこれでもかというくらい下げる。
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