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神様に求婚されました
傍観者に徹する社会。自分の身を一番に案じてしまうのが人間というもの。助けを求めた手は空気を掴むだけ。誰かの顔色を伺って生きていく人生に嫌気が差していた。
――だから今日も神頼みをする。お賽銭なしの、スマイルゼロ円で。
「マネージャーが禿げますように!」
願い事は一ヶ月前まで勤めていたホテルスタッフへの嫌がらせばかり。先輩の乳が垂れますようにとか、チーフが社会の窓全開で通勤しますようにとか。とりあえず無賽銭レベルの願い事だ。
瑠奈は大学を卒業しコンシェルジュとしてホテルに就職した。そこで待っていたのは"やりがい"ではなく潰し合い。配属初日から垣間見えた現実は残酷だった。スタッフ同士によるミスの押し付け合いやパワハラが横行。お客様の文句ばかりが飛び交うホテルに安らぎなどなかった。
今日で退職して一ヶ月。
「就職させろー!」
境内の鈴をこれでもかというくらい全身で鳴らしながら苛立ちをぶつけていると、突然背後から突風が吹いた。同時に瑠奈の長い栗色の髪は背中から流されて頬をかすめる。
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