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「トラってお父さんみたい」
「え?」
「小さい頃、よくこうして撫でてもらった」
懐かしい記憶。もう戻ることはないけれど、確かに残る記憶だけが心の支えになっている。
「瑠奈が望むなら、いくらでも撫でてあげるよ」
「はいはい」
「つれないね」
「つれません」
でも、少しだけ心が揺れたことだけは秘密にしておこうと思う。いずれ来る別れなのだから深入りして後悔することだけは避けたい。
「では、行こうか。新しい家へ」
「うん!」
期待に胸膨らむ新生活。神様に求婚された日、瑠奈はあやかしアパート「スナック虎」の管理人として就職した。
あやかし達に振り回される日々は、まだ始まったばかり。
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