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「これ! 静かにしないか」
食堂の奥からお玉で中華鍋を叩きながらやってきたのはエプロン姿の豚。フリルのついた白いエプロンは汚れが目立っている。恐らく調理担当なのだろう。
「バァバだって嫌でしょ。人間と同じ空間にいるの」
「あたしだって嫌だよ」
「折角のご飯が激マズになるし追い払ってよ」
「いいからお黙り!」
どうやら名をバァバというらしく、ここでは相当な権力を持っているらしい。皆ぶつぶつと口を尖らせながら席に着席したのがその証拠だ。最初に出会ったあの三人は相変わらず鋭い視線を浴びせている。
「よお、人間」
「っ!?」
気づいた時には低い声が耳元で聞こえた。何故か肩に腕を回されている。視界の端から見えるのは、毛先が緩くパーマがかった銀色の髪と七色に輝いている羽根だ。
「へぇ、人間を連れてくるとは。トラ様も大胆じゃねぇか」
「あ、あの」
「俺はアゲハ蝶のショウキ」
軽快なノリに戸惑っているとショウキの腕はトラによって払われた。
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