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「ショウキ、誰の許可を得ての行動だ?」
「へいへい。すんません」
「お前はもう少し真面目に……」
「蝶は蜜が好物なんでね。うまそうなら人間でもお気に入りにするぜ?」
「今すぐ追い出しても構わないけど、どうするかは自分で考えろ」
「へいへい」
どこの世界にもこういうキャラはいるのだな。憎まれ役を買っているのか元々の性格なのかは分からないけれど、トラも手を焼いているらしい。
トラに怒られたショウキは羽根を小さくして着席した。ショウキの隣で物静かに座っているのは赤い着物を着たおかっぱ頭の女の子。手の爪には綺麗な朱色のネイルがされている。座敷わらしだろうか。二人は会話を始めた。
「また調子に乗ったのね」
「この生活も飽き飽きしてたしな」
「トラ様を怒らせてはダメよ? 破門にされても知らないから」
「クレハはもっと好奇心を持とうぜ?」
「大きなお世話」
クレハはクール美女でショウキの子守り役らしい。その隣に座っているのは狐の男性。腰まである小麦色の髪をひとつに結わき、グレージュ色の浴衣を着ている。触り心地のよさそうな尻尾は背もたれからはみ出ていて少し窮屈そうに見えた。
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