神様に求婚されました

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 頼れる人もおらず貯金が尽きる前に転職しないといけないのに、今は何をするにも無気力状態。  思い返したせいで、表面張力を保っていた我慢は溢れ出してしまった。 「好きで我慢してるわけじゃない……のに」  自分の境遇もあり誰かの力になりたいと思った。人知れず我慢をして不安や悩みを抱えている人に寄り添いたいと。だからコンシェルジュを目指した。安らげる場所を提供したいと思ったから。結果的に今は無職だから語れた口ではない。  そんなことを何故かつらつらと話してしまった。 「ごめんなさい」 「なぜ謝る?」 「こんな暗い話をしちゃって」  意に反して頬を伝う涙を優しい親指がそっと拭う。不思議な人だな。初対面なのに、感情を引き出すのがうまいというか。自分自身も相当参っている証拠かもしれない。すると、彼は瑠奈の頬を両手でそっと包み込んできた。壊れ物を扱うように、そっと。 「お前が頑張っていることは俺が一番知っているよ」 「え?」 「立ち話もあれだから、そこに腰を下ろして話そうか」  賽銭箱の足元にある石段を指差し隣に腰を下ろすよう言われた。悪い人ではなさそうだし、もう少しくらい話をしてみてもいいかと思ってしまったことが、瑠奈の人生を揺るがすことになる。
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