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「誕生日が両親の命日って笑えないよね」
「そうだな」
「だからね、誕生日が嫌いなの」
「そうか」
ぽつりと溢す話に彼は頷きだけを見せてくれて、なぜだかそれがとても心地よかった。否定も肯定もされないことが、こんなにも温かいことだなんて知らなかった。
「でもね、仕事は好きだよ」
「どういうところが好きなんだ?」
「お客様のご要望を叶えて、喜んでもらえた時が一番かな」
嫌なことの方が多かったけれど、いい思い出もたくさんある。何気に天職だった。
「チェックイン時に疲れていらしたお客様が、翌朝笑顔でお出掛けされる姿も嬉しいかな」
「確かにそれは嬉しいことだな」
「こんな私でも役に立てるんだって思えた」
誰かに必要とされる人生を歩みたかったから、それを強く思うのかもしれない。両親が生きていたらたくさん褒められていたのかな。
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