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「誰かのために尽くせることは、素敵なことだと思うよ」
突然の称賛に戸惑い、何と返していいか分からず視線が泳いでしまった。褒められたいと思うくせに、いざ褒められると対応に困ってしまう。
「ごめんね、私ばかり話して」
「いや、話してくれてありがとう」
不意に溢した笑みがあまりにも優しくて再び鼓動が高鳴った。今日は心臓がポンコツらしい。
「あなたもこんな神社にお願いしに来るなんて、変わり者だね」
「こんな神社?」
「願ったら不幸になるって言われてるでしょ、この神社」
「あー、そんな噂は耳にしたことがあるな」
ここは町外れにある虎ノ崎神社。昔は祭りなどで盛り上がっていたけれど、何十年か前にこの神社の鳥居前で得体の知れない肉塊が毎日発見されて不吉だとされるようになった。名ばかりの神主も近付かないらしい。
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