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 「今日は先に帰りますねー。」 トランプ部のババ抜きを早々に勝ち抜き太一は俺を置いて帰ってしまった。 昨日の事を引きずっているようには見えないし何かしらの用事があったのかもしれない。 珍しく俺もビリにならずに済んだのにいつも以上に時間を持て余してしまう。 下駄箱で靴を履きかえるときに宿題のプリントを忘れていたことを思い出す。 いつもなら次の日、駿に写させてもらうのだが今日は時間が余っていることから珍しく教室に取りに戻ることにした。 一度下りた階段をノロノロともう一度上がる。 人通りのない廊下を歩きながら教室にたどり着く。 扉は開けられたままで中には人影がある。 もしかして立ち入っちゃまずい感じ? 気付かれないように耳を澄ます。 話し声は聞こえない。 ばれないように覗いてみると片方は寝ているかのように机に突っ伏していた。 やましい感じじゃないなら声かけてはいればいいか。 そう思い教室に片足を踏み入れる。 「太一…。」 聞きなれた声に反応するように足が止まる。 駿…と太一? 太一は今日は予定があると言っていた。 声を出そうとした瞬間に駿の顔が寝ている太一の顔にかぶさり太一の顔が見えなくなる。 音を立てないよう気を使うこともできずにその場を離れた。 遠くから太一の特徴的なクシャミの音がして教室にいたのが太一であることを決定付ける。 階段を一気に下り急いで下駄箱で靴を履きかえる。 今、何を見た? 頭が混乱する中、駿たちが追ってくるんじゃないかと思い逃げるように校門を出た。
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