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太一を支えるようにしながら二階にあるという太一の部屋に向かう。
パジャマ越しに感じる太一の体温はいつも以上に熱く感じた。
「熱。何度あんの?」
俺の質問にベッドにもぐりこみながら「分かんねっす。体温計見つからなくて」と笑ってごまかす。
ぐったりと横になる太一を不憫に思いながらコンビニで買ってきたレトルトのおかゆを出す。
「俺、料理なんてできないからレトルトで悪いな。」
太一の了承を得てから台所で皿を探す。
人の家って当たり前だが何がどこにあるのか全く分からない。
手当たり次第に引き出しを開けて使えそうな皿とスプーンを太一の部屋に持っていく。
きっと昨日太一がお見舞いに来てくれていなければ今日も何が必要なのかなんて俺には分からなかったと思う。
太一と同じようにゼリーとスポーツ飲料を買ってきた。
あと薬局によって座薬も買ってきていた。
九割は仕返しのつもりでいたが弱っている太一を見ていたらそんな考えを持っていた自分が恥ずかしくなる。
「食欲ないですー。」
皿を渡そうにも受け取ろうとしない太一。
仕方がないので昨日されたようにスプーンですくって口元に運ぶ。
嬉しそうにしながら「フーフーしてください」と言ってくる。
「残念。常温だよ。」
そう言って口に押し付ける。
自宅でレンジを使った時に何が原因か分からないが爆発したのがトラウマでそれからレンジはなるべく使わないようにしているのだ。
食欲がないと言っていた割には口に運ぶたびに食べ進めていく。
皿が空になっても物足りなさそうにしていたのでゼリーも同じようにして食べさせる。
なんだかこうやっておとなしい太一を見てるとかわいく思えてくるな。
そんな風に庇護欲を掻き立てられる。
まだだるそうにしながらも先ほどよりかは元気になったように感じる。
「チャイムの音が聞こえて。最初は無視しようとしたんすけど…。窓からのぞいたら先輩だったんで飛び起きちゃいました。」
珍しく照れくさそうに笑う太一の頭をガシガシと撫でる。
こんな可愛らしい事言われた後に座薬を出すのは躊躇われた。
「なんか薬ねぇの?」
自分が買ってきた薬の事を黙ったままやり過ごそうとする。
「場所。分かんねぇっす。」
自分の家のくせして体温計の場所も薬の場所も分からないとはと半ば呆れる。
「じゃあ、ほれ。」
そう言って太一の枕元に座薬を投げる。
驚くかと期待していたが太一の顔色は変わらない。
「吉平先輩が入れてくれるんすよね?」
熱のせいか目をトロンとした太一に言われ心臓が反応する。
「自分で入れろ!!」
そう言って太一の部屋を出る。
「せんぱーい」
何度か無視したが諦めずに呼ぶ太一に負け部屋に戻る。
「自分じゃ全然入らないっす!めちゃヌルヌルするし!」
恥ずかしげもなくパンツを下げたまま少し楽しそうに話す太一にため息が漏れる。
俺は太一のお尻を軽くたたき「入れるぞ」と薬を押し込む。
すぐに手を離すとヌルッと薬が穴から出てくる。
本当に出てくるんだ。
そんなことに感心しながら太一のお尻の穴に指を当てておく。
確かにこれは指を突っ込んでみたくなるな。
さすがに太一のお尻の穴に指を突っ込むようなことはしないがマジマジと見てしまう。
「もういいんじゃね?」
そう言ってゆっくりと手を離す。
薬が出てきそうな気配はない。
「はぁー。」と言って太一が仰向けに倒れこむ。
昨日の俺と全く一緒じゃないか。
「ってか!てめぇ!!人にケツいじらせておいて何おっ勃ててんだよ!!」
恥ずかしげもなく倒れこんでいる太一のモノの存在感はかなりのものだった。
「そりゃ、好きな人にイジられたら反応位しますよ。ほっとけば収まります。」
そう言いながらも太一は動くのがだるいのかパンツをあげようともしない。
「早くパンツ履けよ。」
見ていられなくて顔を背けて言う。
「だって引っ掛かるじゃないっすか。」
そんな事どうでもいいだろう。
そう思いながらパンツをあげてやろうと手を伸ばす。
悔しいことに俺よりもでかい。
身長に比例するという噂はデマだったのか…。
パンツに手をかけ持ち上げると確かに太一のモノに引っ掛かる。
パンツを引っ張って持ち上げればいいものを何を考えたのか太一のモノを掴んでしまった。
「ひゃぁっ。」
太一の声で自分が手にしているものが何か再確認する。
「わっ、悪い!!!」
急いでパンツに押し込んだもののパンツを持ち上げ存在感を出してくる。
「先輩が触るから~。」
本当に嫌がっているわけではなく冗談めいた声で太一が言う。
確かに触れたのは俺のミスだ。
頭の中で自問自答を繰り返す。
考えても答えが出ないのはいつものことだって分かっていた。
まず行動!!
後悔は後から!!!
勢い付けて太一のパンツの中に手を入れる。
ゴツッとぶつかったものを握り動かす。
頭は真っ白だった。
太一の声が遠くから聞こえた気がしたがシャットダウンしていた。
滑りが悪いと痛いか…。
頭が真っ白と言いながらもそんな所だけは冷静に考えることができていた。
先端から溢れてくる物を手に付けて滑りをよくする。
太一が俺の手を止めようと握ってくる。
早く終わらせるから。
「うっっ。あっ…。」
太一の声と共に生暖かい感触が手のひらに広がる。
脈打つように溢れる液体を手で受け止める。
ビクビクと腰を震わせる太一を見ながら太一のモノを掴む手に力を入れてから離した。
「苦しそうだったから…。」
それ以外に多分理由はない。
自分でもなんでそんな軽率な行動に出たのか分からなかった。
太一に期待させるつもりも、そういった対象に見たこともなかった。
これからもそれは変わらないと思う。
だが一線を越えてしまった感は否めない。
「先輩…。」
太一に何を言われるのかと思うと顔を見ることができなかった。
背を向けたまま太一の言葉の続きを待つ。
「…パンツ濡れて気持ち悪いっす。タンスの一番上から出してください…。」
自分のしたことについて聞かれるのだと思っていたのに間の抜けた言葉に息が漏れる。
太一になぜそんなことしたのか深く聞かれても俺自身が分からないのだ。
タンスから新しいパンツを取り出してベッドに放り投げる。
太一は履かせてほしいといったように足を持ち上げる。
それ以上の事したんだもんな…。
半ばやけになるように履いていたパンツを脱がせティッシュで下半身を拭く。
新しいパンツを履かせようと足を通して持ち上げるとまた先ほどの所で引っ掛かる。
「若いんで…。」
恥ずかしげもなくヘラヘラと笑う太一の足を叩いて「帰る!」と言って家を出た。
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