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 「せんぱーい。すいませんでしたってばぁー。」 甘えるように言う後輩に拗ねた顔をして見せる。 「皆でハメてたんだろ!許せん!!」 新しく買ってきたトランプでババ抜きをする。 早めに勝ち抜いて部室を後にする。  あれから数日。 太一は部活に顔を出してこない。 校庭の隅に欠部のペナルティとして草むしりをする太一の姿が見える。 小さい背中がいつも以上に小さく見える。  あの日、俺はジョーカーではなく数字のトランプを選んだ。 あの時の太一の顔が忘れられない。 泣き出しそうな不安そうな、それでも気丈に振舞おうとする表情。 口を開きかけて言葉を飲む仕草。 俺は居たたまれなくなって部室を先に出た。 結論を出したのは自分なのになぜか涙が流れた。 太一の気持ちを考えてなのか、素直な自分の気持ちなのか分からなかった。 部室を出たところで壁にもたれかかっていると、中から太一が声を押し殺して泣く声が聞こえてきてまた涙が流れた。 早く離れなければ…。 そう思いながらも太一を一人にしておきたくなくて少しの間その場で泣いていた。  俺は太一の告白を断った。 やはり男女の交際が普通だと思うし、周りに反対されるような付き合いはしたくなかった。 親にも友人にも紹介できない恋人なんて誰が幸せになるのだろう。 それに部員にもどう思われているか怖かった。 太一が口裏を合わせて勝敗を決めていたのなら太一の気持ちは部員の中では周知されていたのか? もしクラスメイトにばれたら? そんなマイナスな事ばかり考えたら太一と付き合うことはできないと思った。 いつも真っ直ぐな太一を見ているからこそ自分の気持ちを誤魔化せなかった。
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