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「えっ!!さぶっ!マジさぶっ!!!百年の恋も一瞬で冷めるやつ!!」
昨日借りたお金を返しながら昨日の経緯を話すと駿は自分の肩を抱きながら縮みこむ格好をした。
確かに今考えるとサムイ。
そして人に言われると更にサムイ。
自分なりに一生懸命考えたつもりだったが結構な汚点を残したかもしれない。
駿と顔を合わせるたびに笑わられ、やっと待ちに待った放課後がやってくる。
「先輩。遅いっすよ。」
部室の前で座り込む太一を見て微笑む。
一緒に部室に入る。
いつもの場所なのになぜか特別に感じる。
変な緊張感が二人の間にはしるのが分かる。
そんな事を考えていると続々と部員が集まる。
「あれ?またトランプ変えたんすか?」
部員の一人がトランプを箱から取り出しながら言う。
思い当たらずトランプを覗き込む。
どこかで見たことのある絵柄…。
「あれ、でもこれジョーカーないっすねぇ。」
トランプを確かめながら部員が言う。
嫌な予感がして太一を見る。
太一は嬉しそうに笑っている。
部室には昨日買ったトランプが全て置かれていた。
太一が欲しいと言うので昨日全て渡していたのだ。
部員達が他のトランプを確認すると全てジョーカーが抜き取られていた。
「ジョーカーは俺のっすから。」
俺だけに聞こえるように耳元で呟かれる。
駿に散々『サムイ』と言われた事を思い出して顔が熱くなる。
「ジョーカーないならジジ抜きにしよう!!」
太一が部員に言う。
俺は顔の熱が冷めるまで輪に入れず後ろを向いていた。
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