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番外編 [2]
お尻の傷が治る前にまた太一に家に誘われた。
傷が治っていないことは既に伝えていたので俺は油断していたんだと思う。
二人きりの部屋。
話題になったはずの映画も期待外れで太一が飽きているのが伝わってくる。
元々ジッとしていることが苦手な太一は座りなおしたり足を組み替えたりと視界の隅に入ってくるのでこちらも気が散る。
更には映画を見ることを止めたように俺の膝の上に座ってくる。
あぐらをかいていた上に座られるのは痛かったので俺も体勢を変える。
体育座りした足の間にチョコンと太一が収まる。
シャツと髪の間から除く首に吸い寄せられるように唇を押し付ける。
ちょっとのつもりだったのに太一は振り返って本格的なキスを求めてくる。
映画もつまらないし太一の行為に応える選択肢もあったがお尻の事を考えると躊躇われる。
太一の顔を両手で掴みテレビの方を向かせる。
渋々映画を見続ける太一の香りが鼻をかすめて太一の肩に頭をもたれかける。
こんな体勢…。
俺だって辛い…。
もっと触れたい欲に駆られながらもお尻の事を考えては太一から頭を上げる。
元々つまらない映画だったが太一が近くに来てからは内容が全然頭に入ってこなかった。
触れたい気持ちとの葛藤が頭を占めていた。
時々振り返って様子を窺うように太一がキスをしてくるものだから理性が押されがちになる。
触れるだけのキス。
唇を唇で挟むようにするキス。
唇をわざと舐めるようなキス。
口を開き舌を深く入れてくるキス。
まるで好物を食べるかのように何度も俺の舌を吸いながら深いキスを求めてくる。
我慢できなくなったのは俺の方が先だった。
ベッドに寄りかかって映画を見ていたが腰を上げベッドに座りなおす。
太一にも上がるように腕を引く。
素直にベッドに上がる太一。
わざと俺を挑発していたのは気が付いていた。
乗せられたみたいで不本意だが我慢できなくなってしまった。
触りたい欲求が勝ったのだ。
「本番はできないからな。」
向き合った状態のまま太一に忠告する。
「分かってますよ」と軽く返されズボン越しに下半身を触られる。
布が太一の手の感触を邪魔する。
もどかしい気持ちがゾクゾクと体を上る。
太一に言われる前に太一のモノにも手を伸ばす。
固くなった太一のモノはズボンを押し上げて窮屈そうにしていた。
ベルトとチャックを下すと解放されたかのように自ら出てきた。
恐る恐る手を伸ばす。
触られて嫌じゃないか…。
今になってもそんな気持ちがよぎる。
パンツの上から触ると生々しいほどの温度と形が分かる。
先端の形を縁取るように優しく撫でる。
溢れ出たものが太一のパンツを湿らす。
反応が嬉しくて先端ばかりをいじってしまう。
「先輩は俺の先走りに興奮してるんすか?」
何故かいつも頼りない太一がエロい雰囲気になると急に強気になる。
反対に俺は太一に圧倒されて恥ずかしがったり声を上げたりしてしまう。
太一に指摘され手を離す。
太一も手慣れた手つきで俺のズボンを脱がす。
「パンツも脱いでください。」
太一が立ち上がりパンツを脱ぎながら言うので俺も従う。
「俺が上の方がいいかな?」
独り言のように太一が言いながら、上半身を起こし足を延ばした状態の俺の上にまたがってくる。
急な密着に心臓が跳ねる。
俺のモノと太一のモノが今にも触れそうな距離にある。
「兜合わせって知ってます?」
太一が俺の手を握りながら言ってくるが聞き覚えのない言葉に首を振る。
体を起こしておくために片手はベッドに着いたまま空いた手を太一に取られ恋人つなぎのように手を組まれる。
「こうやってお互いのモノをこすり合わせるんす。」
そう言って組んだ手で二人のモノを一緒に掴み動かす。
「ぅあっ。」
急な刺激に声が漏れ体がビクッと反応する。
「…ほら、先輩のからも先走り出てきましたよ。っ俺より量が多いんじゃないすかぁ…?」
言葉を詰まらせながらも太一は余裕を見せてくる。
確かめるために視線をお互いのモノに落とす。
どちらのモノかも分からない体液が手のひらを滑らせ光っている。
「っ…兜合わせなんてネーミング…。誰が考えたんでしょうね。」
口では余裕を装っているが顔は苦しそうだ。
しごく手に力を入れる。
太一の体がビクッと反応する。
仕返しのように太一も力を入れてくる。
「やっ…。っん…。ふぁっ…。」
口で呼吸をしようとしただけなのに声が漏れる。
「おれのっ…、こえで…こうふんっ。…してんの?」
途切れ途切れになりながらも太一に反撃する。
かなり固くなっていた太一のモノは俺の声に反応するように大きさを増した。
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