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 「それでは吉田吉平君質問です。名前の由来は?」 「はっ?…なんか名字と名前に吉が入ってるとラッキーそうだからって聞いたけど…。」 「生年月日は?」 「2月13日。」 「趣味は?」 「特にないけど…。ってかこれ何?」 「まぁまぁ。じゃあ、好きなタイプは?」 次々に質問を重ねてくる駿に答えながらもさすがに答えに詰まる。 「んー。タイプなんて特に考えたことないなぁ。…こういう子は可愛いとは思うけど…。」 手元にあった漫画雑誌の表紙のグラビアの女の子を指さす。 特に名前も知らない女の子だが大きなネコ目で上目使いに見つめる写真はグッとくるものがある。 駿は「フムフム」とわざとらしく答えると何かをメモするようにこそこそとしていた。 「あとは、髪の毛はなんで染めたの?」 「姉ちゃんが美容学校行っててお試しでやられた。」 「じゃあ、ピアスは?」 「兄ちゃんが度胸試しだって…。いや、本当これ何?何の訊問よ?」 「吉平て三人兄弟なの?」 「あぁ、そう。だからいつもイジラレ役なんだよ…。」 話をすり替えられたことに気付かないままHRのチャイムが鳴るまで駿の尋問は続いた。  「せんぱーい!」 昼休みになるとまたしても太一が教室の扉から呼びかけてくる。 さすがに上級生のクラスに入り込む勇気はないのだろう。 重い腰を持ち上げるように席を立とうとすると駿に肩を掴まれる。 「俺が行く。」 心なしか何かを企んでいるかのように笑う駿に生返事を返す。 駿が太一と知り合いだなんて聞いたことなかったけどな…。 駿が太一に声をかけると一瞬不安そうな顔をしていた太一の顔がパァッと明るくなる。 何それ。 ボーッと二人のやり取りを見ていると視線を感じたのか駿が太一の肩を掴んで廊下の陰へと消えて行ってしまった。 なんだかわざと隠し事をされているようでモヤモヤと心が曇る。  数分後駿が席に戻ってくるといつも以上に上機嫌だった。 「何話してたのさ。」 拗ねたように駿に尋ねる。 「秘密…。後輩ちゃんってかわいいね。」 駿の言葉に机に突っ伏していた格好から勢いよく体を起こす。 「えっ。お前ってそっちもありなの?」 駿から初めて聞く言葉に興味津々に前のめりになる。 「あっ?あ~、まぁ、ありなんじゃない?」 駿が当たり前のように答えるので自分が男同士だからダメと頑なになっている意味が分からなくなってきた。 男同士でもありなのか…。 一瞬太一と付き合うことを想像してみて大きく首を振る。 いや、無しだろ。 太一は可愛い後輩だけどそんな風に見たこともなければ、これからだってそうなる予定はない。 駿が誰を好きになろうと関係ないが俺は女の子の方がいい。 女の子は優しいし柔らかいし良い匂いがするし、おっぱいまである。 まだ誰ともつきあった事などないが付き合うならやっぱり女の子がいい。 俺はまだ見ぬ未来の彼女を想像してぼんやりとしていた。  
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