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番外編 [3]
切れていた尻が完治した。
なかなか完治まで時間がかかった。
どれだけ深く切れていたのか確かめる自信はなかったので分からないが毎日三回薬を塗った。
それでもトイレに行くたびに治りかけた傷が開く。
痛みに耐えながらの排便はトラウマになりそうだった。
だから治ったからといって安易な行動には出ない。
まず太一にはまだ教えない。
知られてまた尻をイジラレたら振出しに戻ってしまう。
とりあえず今までのように抜きあいでやり過ごすつもりだ。
そして太一には自分でいじるなと言われていたが身を守るのは自分しかいない。
風呂に入る時に自分で毎回ほぐしていれば何とか太一のモノを受け入れられるくらいにはほぐれるのではないだろうか…。
それでも無理ならその時にでも考えよう。
「今日先輩ん家行ってもいいですか?」
タイミングの良い太一の質問にドキリと心臓が鳴る。
俺の尻が完治したことは俺以外知りようのない事実なのに何をおびえる必要があるのだ。
太一の言葉に快く頷く。
俺の尻は俺が守る。
太一は俺の部屋に入るなりズボンを脱がせてきた。
キスもせずにこんな行動に出られるのは初めてだった。
もしかして俺の尻事情が太一にバレているのではないかとズボンを必死に押さえる。
「最近してなかったから溜まってんすよ。」
確かに太一の言葉通り会う機会が減っていた。
お尻の事があってからお互い気を使うように距離を置いていた。
太一も『会えない』と言うとすぐに了承してくれていた。
知らずの間に太一に我慢させていたんだと思い、太一に大人しくズボンを下される。
ベッドに押し倒されるとパンツを脱がされる。
肌寒さを感じながら俺に欲情している太一を見て少なからず興奮してしまう。
「先輩も勃ってきましたね。」
ニヤリとやらしい笑い方をされ鼓動が早まる。
太一がズボンを脱がないことを不審に思っているとベロリと俺のモノを太一が舐める。
ザラリとした太一の舌の感触に一気に下半身に血が集まる。
俺は足を閉じ膝を曲げイヤイヤと首を振る。
太一はそれでも余裕そうに顔に笑みを残していた。
俺の膝を手で押さえつけるとグイッと持ち上げられる。
お尻が丸見えになっているのが分かり抵抗しようともがくが以外にも太一は力強かった。
「ケツよくなりました?」
マジマジと顔を近づけられて羞恥心で死にそうだった。
答えられないでいるとベロリと生暖かい感触がお尻を這う。
声にならない声で反抗する。
俺の反応を見て笑いながら太一が押さえつけていた手を緩める。
そして軽いキスをしてくる。
今、俺は下半身を丸出しにしながら自分のケツと間接キスをしたのか…。
自分の意志とは関係なしに物事が進んでいくのを止めることができない。
太一が強引なのか俺の意思が弱いのか…。
「俺、次は焦らないんで。先輩が良いって言うまで入れないんで安心してください。」
太一の思いやりが伝わってくる。
できれば入れられる方を変わってほしいと思いながらも言葉を飲む。
「だから、毎日俺にほぐさせてください。ほぐすだけならそんなに時間かかんないと思うし、毎日すれば結構変わると思うんすよね。」
太一と自分の考えが同じことに笑いそうになったが、もう一度太一の言っている意味を考えて恥ずかしくなる。
しなくとも毎日太一にケツを差し出さなければいけないのかと思うと嫌すぎた。
「いや、ほら自分でならすし…。」
俺の言葉に太一は以前と同じように『俺の穴だ』と謎理論で反論してくる。
「でも、太一もしたくなっちゃうかもしれないし…。」
半ば諦めながら太一が引き下がることを祈る。
「大丈夫っす。俺は鉄の意思ならぬケツの意思っす!!」
太一のギャグのセンスとこれからの事を考えると深いため息が漏れた。
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