卒業編

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 「しぇんぱーい。」 朝から太一の情けない声で起こされる。 目をこすりながらベッドから起き上がる。 何事かと太一に顔を向けると悲しそうな顔をしている。 頭を抱き寄せてヨシヨシと頭を撫でると太一は猫のようにすり寄ってくる。 「やっ!違くて!!」 胸で甘えていた太一が俺の事を押しのけて目覚まし時計を見せてくる。 昨日セットした起きる時間を既に過ぎている。 寝起きの頭で間に合わないことを確信するともう一度ベッドに倒れこむ。 「二十分後に起こして。」 太一に言って布団を手繰り寄せる。 一限目に間に合わないのなら諦めるしかない。 再び襲ってくる睡魔に気持ち良くなっているとゴソゴソと布団が動く。 生暖かい感覚が体を這っているのに気が付き布団をめくる。 「十分で終わらせますんで…。」 足の間から俺のモノを咥えようとしながら太一が言う。 俺は抵抗しようともがく。 「でも先輩も勃ってるじゃないですか!」 「これは朝勃ちで生理現象だ!!」 「すぐに気持ちよくさせますから!」 「朝からする元気ねぇよ!」 「じゃあ、半分!」 「半分もダメ!!」 「じゃあ、先っぽだけ!!!」 「ダメ!!」 そんな言い合いをしながらも太一にキスをされ体を触られると素直な反応をしてしまう自分がいる。  太一が卒業して俺と同じ大学に入ってからすぐに同棲するようになった。 高校の時のようにいつも一緒にいるのが当たり前になって、毎日太一の顔が見られてこれ以上の幸せはない。 俺を見下ろし腰を動かす太一を見ていると男を感じゾクゾクとしてしまう。 他の男ではなく太一だから感じるのだ。 快感に目を瞑りそうになるが太一の顔を瞼に焼き付けたくて無理に目を開ける。 苦しそうにしながらも恍惚とした表情。 俺の視線に気が付いたのか太一も俺に視線を落とす。 「感じてる俺見て興奮してんすか?」 いつもの太一の意地悪な言葉に体がビクビクと反応する。 「ほら、そろそろ十分経っちゃいますよ。」 わざと動きを緩める太一の手を握る。 「もっと…。おくっ…。」 太一は嬉しそうに笑って一気に奥深く押し込んでくる。 壁に突き当たるのが分かり腰が跳ねあがる。 「んぁっ。あっ…。あっっん…。やぁっ…。っん…。」 乱暴に突かれるたびに甘い声が漏れる。 薄目で太一を見ると愛おしそうに俺のことを見下ろしている。 唇を突きだしてキスをねだる。 唇が塞がれると口の隙間から吐息が漏れる。 太一と舌を絡ませながら絶頂を迎えた。  「だから朝はしたくないって言ってんのに!!」 朝から狭い風呂に二人で入りながら文句を言う。 「でも先輩が朝から色っぽいから…。」 太一の言葉にため息をついてキスをする。 言われて嫌ではないがそれ以上に恥ずかしい。 男である俺が色っぽいわけも可愛いわけもない。 軽いキスのつもりだったが太一に頭を掴まれると深く舌が入り込んでくる。 ビクッと体が反応したのを気付かれていないことを祈る。 「もう一回ダメっすか…?」 甘えるように上目使いをした可愛い後輩に首を振ることができずにキスで応えた。 ---END---
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