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―神歴500年、仮想世界、ディヴァインス王国のはずれ― 僕には友達と呼べる者が一人もいない。しかしそれは、僕だけじゃない。この世界のどこに住んでいる王族の少年少女みんなの共通の苦しみだ。 だからこそ…僕は友達が欲しいと何度も天に願った。叶えてもらえると…そう思っていたから。 僕が密かに庶民の同年代を羨ましく思う一番の理由はそこだ。金があろうと無かろうと、友の一人や二人、いたっていいじゃないか。 ―2024年7月、架空の都市・臨海― 「はぁぁぁぁぁ…ねぇ、なんで海に面してる街なのにこんなに暑いのさ!」 黒髪に青紫の瞳を持ち、背丈が年相応のこの少年は長旅遊真。臨海市西区に住んでいる中学二年生で、大のゲーム好き。加えて、西中学校の同年代の成績ではなんと軽くベスト10以内に入るほどの学力を合わせ持っていた。 「それにしても…今はすごいよね。freesが倒産したっていうのに、その子会社がこうしてとんでもないゲームを開発しちゃうんだからさ!」 「けど、ARはARなりの危険があるだろ?ARがリアルの世界に物を写しているってことなら、当然ゲーム機を外して回り見れば何もないってことだよ?」 「出たよ、遊真のお得意のゲーム機うんちく!お前ただでさえ頭いいのにそこまでゲームに没頭できちゃうんだもんな!うらやましいぞこのぉ!」 遊真の友達らしき少年は遊真の頭をぽかぽか叩いてからかった。 「君たち、危ないよ!避けて!」 「「は、はい!」」 遊真の目の前にバリアフィールドが展開され、同時に軽くビルくらいの長さはあるであろうモンスターが襲いかかってきた。 しかし、遊真と友人の目の前に現れた緑色のコートを着た同い年くらいの少年はそのモンスターをほぼ一瞬で倒してしまった。 「怪我はない?オレとしたことが、ちょっと取り逃がしてしまったヤツがどうしても討ちたいという気持ちが先に出てしまったようだ。」 「オレらは大丈夫です、それよりあなたは…?」
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