名前のない物語は進み始める

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 少し考え込む。この話が本当だとして、本当にそんなことが起こるのだろうか、本当に見えないなんて事があるのだろうか。  そういえば彼女は消えてしまうと言っていた。消えてしまう?見えなくなるだけなら消える、なんて表現はしないだろう。 「信じがたいが君の言っている事は理解した。それで消えるというのはどういうことだ?」  「透けて見えるの、時々ね」  幽霊かと、そう言いたくなった 「まるで幽霊とでも言いたげな顔ね」  心を読まれた。 「あなた、分かりやすいわね。考えてる事が顔に出てるわよ?」  どうして年下の女の子にまでからかわれるのだろうか。まあそれはいい。 「それで、俺は君に何をすればいいんだ?」  それが今、一番の問題だ 「何を、と言われても困るわね。あなたがこれを解決出来る、と言うなら別だけれど、出来ないでしょう?」  どこか偉そうだった。 「そうか、なら雨が止んだら出ていってくれ、君が中学生でも高校生でも、うちに居られるとまずいからな」  そう言うと少女は泣きそうな表情を浮かべて 「今私の事が見えるのはあなただけなの、たとえあなたに何も出来なくても見えるのはあなただけ、この意味、分かってくれるかしら」
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