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泣きそうな顔で少女は強がる。
強がっている。皆に忘れられ、一人になってから、心細かったのだろう。それでも少女は強がりを捨てなかった。意地でもあるのかもしれない。
「分かった。」
そう言うと少女は驚いたような表情を作る。
「とりあえずしばらくはうちに居ればいい。代わりに家事でもしててくれ、いいか?」
困ってる少女を放っておくのも趣味じゃないがそれより何よりもこの少女に強がらせたままじゃいけない、そう思っての行動だった。
「料理以外なら任せて。料理はあまり得意じゃないのよ。」
少女がそう言った直後、ガチャリと家のドアが開く音。
「鍵かけ忘れてる、不用心だよ?」
少し低めのゆったりとした声。蓮だ
「私は見えないわ、誰かは知らないけれどいないように振舞って」
そうか、俺にしか見えないのなら大丈夫なはず。
けれどその期待は裏切られた。
「その子、誰?」
買い物袋の落ちる音、どうやら蓮には彼女が見えているようだった。
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