おさにがなたまご前編

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おさにがなたまご前編

長いようで短い学年末考査が終わった。 2年生最後のまとめだから好きなこともやりたいことも我慢していつも以上に勉強に励んだ。 だからテスト最終日の午前帰り、今日ならたっぷり自分の時間が使えると仲良しのさーやとゆっこからのお誘いを断って急いで家へ帰ってきた。 「ただいま」 さーやから借りた少女まんがの続きがやっと読める。貸してくれた少女まんがは幼なじみから恋人になるまでのふたりの障害や葛藤のお話し。 さーやは「これ見て参考にしたら」と皮肉たっぷりにわたしに押し付けてきたから最初はページすらめくりたくなかった。でも読んでいくうちに話しが面白いから意外にハマってしまった。 だから早く続きを読んで最終巻まで一気に読む。と、自分の部屋へ一直線に階段をかけあがろうとしたわたしにお母さんがリビングから声をかける。 「美紅、おばあちゃんがりんご送ってきたからこうちゃんの家に持ってって」 「何でわたし?忙しいからお母さん行ってよ」
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