おさにがなたまご後編

7/10
前へ
/20ページ
次へ
部屋のドアが閉まる音に続いて慌ててクローゼットの前に来る足音。 勢いよく開く扉の音に驚いて、ピンクの紙袋で思わず顔を隠した。 「美紅……何してんだよ!」 驚きと怒りの混じる洸夜の声。わたしは何も言わずに顔を紙袋で隠しながらクローゼットの中から出た。 だってさっきからずっとしくしくと泣いていたから洸夜にこんな顔見せられないよ。 「これ……届けに来ただけだよ……」 「じゃあなんでクローゼットに居たんだよ!」 「つい……」 「ついってなんだよ」 わたしが持っていた紙袋を洸夜がひったくる。泣いている顔を見られたくないからうつむき目を閉じた。 しばらく沈黙が続く。恐る恐る片目を開けて洸夜を見ると、紙袋の中を覗いていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加