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(――わたしの最後の洸夜への想いだけはちゃんと受け取って……)
無理やり笑顔を作ったら急に泣きそうになったから洸夜の部屋を飛び出した。
洸夜の前で涙が出なくてよかった。
泣くのを我慢した緊張感から解放されると、洸夜を想う気持ちと一緒に涙が次々と流れてきた。
洸夜はわたしにとってのヒーローでもあり初恋の人。
でもその初恋の人には中学生の頃から付き合っている彼女がいる。
洸夜への想いが抑えられなくて気持ちをぶつけたあの中二の合宿。あの時、気持ちは一緒だと思った。
なのに今でもわたし達はただの幼なじみ。
現実は少女まんがのようにはならないんだよ。
「将来プロ野球選手になる」
「わたしはこうちゃんのお嫁さんになる」
そんな可愛い夢を声高らかと宣言した小さい頃のわたし達はもういない。
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