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リンゴもバラ科の植物であるらしい事は、薔薇について調べた時に知った。実際、いざ調べてみれば結構意外なものがバラ科に属するらしい。――びわ、桜、桃、苺。
つい食べ物に目移りしてしまうのは、自分の現金さか。しかし確かに、あの庭にはリンゴの木が無かったな、と思い出す。それを彼女は寂しがったのかもしれない。
年頃の娘ならば、リンゴの甘い香りも・・・白くて、けれども淡い桃色を湛えた小花も好きそうだ。
少女に頼られたのだという、浮ついた心地のままに、私は大叔父に進言した。あの庭に、リンゴの木を植えさせて欲しい、と。しかし大叔父の返事は『否』、である。
思えばあの庭は大叔父の所有物である。必要なものならば、とっくに大叔父が揃えているだろう。そんなところに、私のような若輩者が意見しようというのだ。私はその不敬さにようやく気付いて、真っ青になって平謝りした。
しかし大叔父も、決して私の態度が不快であったわけではないらしい。むしろ機嫌よく体を揺らして笑いながら、これからもあの二人の事を宜しくとまで頼まれてしまった。
驚くやら恐れ多いやら。目を白黒させる私に、大叔父は言った
しばらくあの二人の相手をしてやって欲しい事。
あの二人とのやりとりを、飼い主である大叔父に逐一報告する事。
そしてそれらをしてくれるのならば、屋敷にしばらく滞在する事を許すという事。
―――どうするか?・・・と楽しむように問われた内容は、私に断る理由も無く、ぶんぶんと縦に首を振っていたのは言うまでもないだろう。
語る上で、私はあの二人組を『二人』と表現するが、大叔父は常に『二匹』と表現していた事は、ここに一度追記しておく。
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