2人が本棚に入れています
本棚に追加
女の子は男の子のために、紅茶を淹れた。
彼女は内心、とても恐れていた。
もてなさないわけにはいかない。けれど、気味悪がって飲んでくれないかもしれない。
男の子は、とても美味しそうに紅茶を飲んだ。
「君が淹れる紅茶は最高だね」と男の子は言った。「それに、君が弾くピアノも。クッキーはもう作ってないのかい?」
「やめたの」女の子は小さな声で言った。「私の手は、汚いから」
彼女がわけを話すと、男の子はひどく残念そうな顔をした。
「もったいないなぁ。君はこんなに上手に紅茶を淹れたり、ピアノを弾いたりできるのに──それに、絵だって」
女の子の絵を、男の子は眩しそうに見た。女の子は恥ずかしがって隠してしまう。
「見ちゃだめ。下手くそだから」
「そうだね──君はもっと上手に描ける」
彼女が描いた絵は、どれも画集や写真を真似たものだ。
「ねぇ、本物の絵を描いてみせてよ。誰かの真似じゃない、君だけの絵を」
最初のコメントを投稿しよう!