プロローグ:怨嗟

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 でもさ、こんなのないよね。  どうしてなの。僕の初めての友達で女の子だったのに初めて画面の向こう側以外の女の子の友達ができたのに、どうして消えてなくなってしまったの。  僕が一体、何をした。行きたくもない学校に通わされて、それでも真面目に勉強したじゃないか。宿題だってちゃんとやってたじゃないか。  学校の授業内容なんて幼稚すぎて聞くに堪えないものだったけど、それでも僕は真面目にやってたんだ。テストでも満点とって学年一位の座をほしいままにしてたぐらいなのに。  どうしてそんなどうだっていい概念だけが残って、重要なものが手から滑り落ちるように消えてなくなってしまうのか。分からない。全然分からないし納得いかない。  これは誰のせいだ。僕のせいか。否、違う。  決まってる。みんな世界が悪い。世界に蔓延る周りの人間が悪い。そして守ってくれなかった兄さんが悪い。  奴らがちゃんとしていれば、僕より強い奴らがちゃんとしていれば、澪華(れいか)が死ぬ事なんてなかった。ただの別物に成り果てる事もなかったんだ。  僕はいつもいつも被害者。か弱くて、戦う力も無くて、体力も無くて、ただ手が器用で物作りが得意なだけの、ただのゲーマー兼オタク。  だから。だから僕は、悪くない。  悪いのは、僕より強いくせに、その強さを然るべきときに発揮できない、周りの奴ら全てなんだ――――――――。
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