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「なけなしのヴァルヴァリオンを支える新設大教会の重鎮、``五大神官``も大した事なかったですね」
「所詮、時代の波に乗り遅れた過去の遺物の残滓だ。死んだところで大差ない」
佳霖はかつて同僚であった神官達を一瞥し、鼻で笑った。
五大神官。ヴァルヴァリオン法国跡集落を執政する新設大教会の最高幹部。と言えば大層な肩書きだが、言ってしまえばただの陰湿な宗教団体に成り下がった無能な魔術師の集まりである。
五大神官などという肩書きだけの立派な連中よりも、ここに来るまでの道中で出くわす魔生物の方が、命の危機を感じるほど強大な存在だ。
おそらくこの建物から外に出るだけの力すら無く、引きこもって竜神を崇め奉る程度の能しかないのだろう。
「だが無能な割に、保管している神器や設備は良質ときた。温室育ちの穀潰しには、勿体ない代物だ」
「まさに、私もそう思います。それで、今からその神器とやらの回収を?」
そうだ、と佳霖は答えた。
新設大教会に勤めていたのは、神器の在り処の下調べと無駄に良質な支給品を利用し、手渡された支部を己自身のアジトとして改造するためであった。
本来なら流川家からいくらか盗み取りたかったのだが、新設大教会の連中と違い、奴らは有能すぎた。
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